漫画と違い「素人でもすぐに書ける」と思われがちな小説。しかし作品を書き上げるのは困難で、書き上げてもクオリティが低くて読むに耐えない作品になったりします。実際に書いてみて「思ったより大変じゃねーか!」とイラっとした人も多いでしょう。
なぜ小説を書くのは大変なのでしょうか。
本記事では「文字だから」以外の小説が書けると思われがちな理由をご紹介します。
文字だから小説は書ける?
小説を書くには「考える作業」と「書く作業」があります。そして考える作業は難しく、書く作業は簡単だったりします。
考えるのは時間がかかるし、大変ですよね。それに面倒です。しかし文章を書くだけなら、10分もあればそれなりの手ごたえが得られます。何より形として残る(目で見える)から、達成感も強いでしょう。
しかしどんなに文章が書けたとしても、中身がなければどうしようもありません。あなたも読者として作品に触れているので、これは本能的に理解できるでしょう。
それなのに大抵の筆者は「文章さえ書けば良い作品になる」と思っています。そして考える作業を軽視し、書く作業に苦心するのですね。
よい作品を書くためには、まず書くこと優先の考えから脱却する必要があります。そして考える作業重視で小説を書くことが必要になります。
ありがちな小説書きの事例
多くの小説を書きたい人は、思いついたり閃いたら、すぐに本文を書き始めます。
この時、考える作業は省略されています。突如ネタが降ってきたりアウトプット(書くこと)から始められるので、考える作業は含まれていません。
物語の整合性をとりながら、浮かんだアイディアを作品の形へ落とし込む。するとなんとなく書けそうな気持ちになるのですね。
「細かい部分は書きながら決めればいい」と思い書き始める。すると途端に行き詰まります。「後で書こう」こう思って筆を置いたが最後、そのまま忘れたり他の作品に取り掛かったり。幸い思い出したとしても、当初とは違った作品になることも。強引に物語を書き進めて脱線したり、別の話になったり。本来書きたかった物語を見失うことになります。
小説を書いていると、こうしたケースが往々にしてあります。
どうしたら素人でも小説が書けるか
まず「素人だから小説が書けない」「書き慣れてるから小説が書ける」というわけではありません。
文章に対する慣れという差は出ますが、大きなメリットにはなりません。むしろ素人こそ小説が書けたり、「長く書いてるけど読むに堪えない作品ばかり」という人もいます。
小説を書くには、何よりも「考える作業」が大事。ひらめきはとても大切ですが、ひらめきだけですべてが完結するわけではありません。思いついたら、まずはしっかりと考えましょう。
即座に物語を作れる人もいれば、年単位で考える作業が必要な人もいます。しかしその考える作業が何よりも大事。じっくり取り組みましょう。
もし「考える価値がないな」と思ったら、スッパリ辞めるのも手です。もしくはネタ帳に記載し、眠らせてもよいでしょう。
正直、考える作業は「作家各自の能力」に委ねられます。
こんな記事を書いている私ですが、自分に考える力が足りないと常々考えています。本ブログ(かけない.com)で「考える作業が大事」と何度も発信しているのは、行き詰った時、最終的に辿り着くのは「考える力」だと実感するからです。
よかったらこちらの記事もご参照ください。
→【基本】小説の書き方|最後まで挫折せずに書く5つの手順
→「小説が書けない」と悩む人へ【悩み別】3つの解決法
どうやって考える力を鍛えるか
そんな「考える力」ですが、訓練で鍛えられます。だから才能がないとか、諦める必要はありません。
じゃあどうやって考える力を鍛えるのか。いっぱい考えることです。アホみたいなアドバイスですが、これが一番の近道です。
書く前にしっかり物語を考えることができれば、スラスラと書けるようになります。最後まで書けたら、推敲段階で文章をブラッシュアップすることもできますしね。
考えることは、骨が折れるしツライと思います。しかし根気強く続けてください。年単位で考えましょう。たくさん考える内に、考える力は徐々に伸びていきます。
書くのは楽だが、考えるのは楽じゃない
「日本語だからすぐに書ける」と思われがちな小説ですが、実は高度な知的作業です。本当に大事なのは文章力ではなく、中身。そして中身を作るには「考える作業」が何よりも必要になります。
考えるのは、とても面倒です。疲れるし時間もかかります。しかしあなたの小説が物足りないと思ったら、足りないのは何よりも「考える力」でしょう。
考える力は後天的に鍛えることができるので、「才能がない」と不貞腐れず、じっくりと取り組んでみてくださいね。
推薦図書:東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方
日頃から高度な知的労働に携わる、東大教授による著作。「考えるためには何が必要か」「どのように考えたらいいのか」といった、考える力を鍛えるために必要なことがまとまった一冊です。
考える力について言及された本は少ないので、行き詰まっている方はぜひ参考にしてみてください。