ピッチ&ログラインとは|「どんな作品?」に秒で答えよう

今どんな小説書いてるの?

知り合いにワクワク顔で聞かれて、答えに困っていませんか?
また、あらすじ作りに困っているかもしれませんね。

そんな人はピッチとログラインを作るのがオススメ。
本記事ではピッチとログラインの解説から作り方までをお伝えします。

事前にテーマを決めておくと、よりピッチ&ログライン作りがスムーズになります。テーマ作りに悩んでいる人は作品テーマとは|簡単な作り方と見つけ方、捻り出し方までをご覧ください。

目次

ピッチとログライン

簡易あらすじとしてピッチ」と「ログラインが利用されます。
どちらも「どんな内容か」を端的に説明するためのものですね。

どんなものか、それぞれ見ていきましょう。

ピッチとは

ピッチは「つまり一言で言うと」です。

ピッチは一瞬で聞き手の心をとらえ、「もっと聞きたい」と思わせるのが目的。
色々詰め込みたくなるでしょうが、ダラダラ長くなるのはご法度です。

そもそも尋ねた相手は、聞きたいのではなく「知りたい」だけ
聞く価値があるかを判断したいだけで、あなたの作品に興味があるわけではありません。

だからこそ、相手が興味を持つようなピッチを作ることが肝要。
詳細は、求められてから説明すればいいので、とにかく気になるような一文を作りましょう。

ピッチ例文:ジョーズを説明するなら

例えばジョーズなら「ひたすらサメに襲われる話」のようになるかと思います。

身も蓋もない説明ですが、聞き手に「何それ!」と思わせられたら勝ちです。

ログラインとは

ログラインはどんな話なのか」を一文でまとめたものです。

当然ピッチよりは長くなります。しかし、あまり長くならないように注意しましょう。
あまりにダラダラ続きそうなら、2~3の短文でまとめるのもありです。

どんな誰が/どうして/どうなる話という型をベースに、組み立ててみてください。

ログライン作りについては、下記記事をご覧ください。
ログラインの作り方|あなたがログラインを作れるようになる方法

ログライン例文:七人の侍を説明するなら

「七人の侍」なら「野武士に襲われることを知った農民が、村を守るために侍を雇う話」になるかと思います。

ここで大事なのが「一体どうなるの?」と聞き手に思わせること。
もし「ふーん、それだけなんだ」と納得されたら、それ以上読まれません。

駄目なログライン例文

例として「黒髪美少女がひたすら妖怪と戦う話」というログラインを作ってみました。

いかがでしょうか? もっと読みたいと思いますか?
なんとなくどんな話か想像がついて、「読みたい」と思わなかったのでは?

積極的にピッチ&ログラインに入れたい要素

物語を作る時やアイディア全般にいえますが、下記要素は最高に人を惹きつけます。

  • 聞いたことがない話
  • 聞いただけではどうなるか予測できない話

ぜひログラインには、聞き手の想像が及ばないような要素を入れてみてくださいね。

ピッチやログラインとあらすじ(梗概)の違い

作品内容を説明する文章として、よく使われる「あらすじ(梗概)」がありますよね。

あらすじは内容全体を理解してもらうためのもの。つまり読み手にある程度興味があって、知るために読んでくれます

一方ピッチやログラインは、興味を引くだけ。詳細な説明として、あらすじが使われます。

興味がなければ、あらすじまで辿り着きません。
ピッチやログラインは、あらすじの前段階と思うのがよいでしょう。

あらすじとピッチ&ログライン。よく似ていますが、用途や利用される場が違います
違いを明確に覚える必要はありませんが、両方答えられるように準備してくださいね。

なぜピッチとログラインが重要なのか

ピッチとログラインは、必ず作る必要はありません。しかし作った方がよいです。

ここからは、ピッチとログラインを作った方がいい理由を解説していきますね。

作品の説明を求められる

映画関係者や先輩ライターに会うと「どんな話書いてるの?」と聞かれます。
自作の説明を求められることが多いです。

大抵の人は、上手く説明できません。
でもピッチがあると、スマートに自作を説明できます。

簡潔に述べられるということは、それだけ深く自作に向き合っているということ。
自作への思い入れが伝わり、相手からの評価も高まるでしょう。
二つの意味でも、ピッチがあると、とても便利です。

聞き手から「もっと聞かせて」と言われるように、内容を一言で表現してみましょう

自分の作品の魅力を把握する

「あらすじなんて、すぐに思いつかない」
「本文を書いてから、決めたい」

皆さんの中には、こう思う人もいるでしょう。

もちろん今作ったピッチやログラインは、後で変えて構いません。
ただ最初に考えておかないと、せっかくの力作が無駄になる恐れがあります。

ピッチやログラインは、「文庫本の裏にあるあらすじ」に似ています。

突然ですが、皆さんは本を買う時、本の説明文を読みますか?
もし文庫本の裏にあるあらすじが面白くなかったら、その本って買いますかね?

多くの人が、本棚に戻すと思います。
「クソつまんないから買いだ!」とテンション上がる人は、ごく少数だと思います。

つまり本文を読む前段階で面白くないと、そもそも読者に読んでもらえません。
手に取られない以上、どんなに面白い話を書いたとしても無意味。本文の面白さ以前の問題なのです。

物語を書く前段階で、この内容で読者の興味を引けるか、チェックしましょう。
ピッチやログラインの段階で面白ければ、その話は手に取られやすくなります。

全部書いてから「つまらない話だった」となったら、せっかくの頑張りが無駄ですよね。
執筆する前に、読者の興味を引けるかどうか、事前に作りこんでおきましょう。

ピッチとログラインの作り方

ピッチやログラインを作るコツは、三つあります。
ぜひ作る時のヒントにしてみてくださいね。

誰かに説明する

他人に自分の作品を説明する時、何からどうやって伝えるでしょうか?
友人に「どんな小説書いてるの?」と言われたと想定して、なんて答えるか考えてみてください。

実際に誰かに話してもいいし、録音するのも良いでしょう。
プレゼンテーションするつもりで、実際にスライドショーを作ると良いかもしれません。

目の前にいる相手が食いつくよう、自分の物語を売り込んでみてください。

あらすじを作る

最初にあらすじを作り、削って短い説明文を作る方法も有です。

多くの公募で、原稿用紙2枚程度の梗概を提出するよう指示があります。
もし公募に出す予定があるなら、最初にあらすじ作りから入ると良いでしょう。

梗概も同様に、審査員の興味を引くように作ることが重要です。

梗概を読んだだけで、審査員は「作者はどれだけ自作を把握しているか」「文章をまとめる能力があるか」を読み取ります。
本文よりずっと短いですが、あらすじやピッチ、ログライン作りはそれほど重要なのですね。

文庫本の裏にあるあらすじをイメージして作ると、作りやすいでしょう。
ぜひ自分の作品が本になったつもりで作ってみてくださいね。

既存作品のあらすじを作ってみる

自作のピッチやログラインを作るための練習として、既に世に出ている作品のピッチやログラインを作ってみましょう
練習することでコツが掴め、自作のピッチやログライン、あらすじも作りやすくなります。

既存作品は、何かしらのテーマやピッチ、ログラインが設定されています。
それを自分なりに抜き出してみましょう。

正解として、実際に文庫本の裏にあるあらすじや解説と見比べることができます。
見比べることで、気づけなかった作者の思惑に気づいたり、自分の考えや感じ方が知れます。

他の作品で練習を重ねることで自作を見る目も養われるので、ぜひ試してみてくださいね。

ピッチやログラインは執筆前に作ろう

アイデアがひらめいたら、「どんな話か」を簡潔にまとめておきましょう。
最初にどんな話か把握することで、その後の物語が作りやすくなります。

ピッチやログラインがあれば、理解しやすい上に説明しやすいので便利。
誰かにPRしたり本にする時の説明文にも使えます。

ただし、ピッチやログラインの段階で面白くなければ、読まれません。
上手く一文にまとまらないようなら、今は書き出さない方が良いでしょう。

「せっかく書いたのに読まれなかった」ということにならないよう、初期段階でしっかり考え、より良い作品を作ってくださいね。

推薦図書:SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術

ログラインがよくわからない人にオススメな一冊。脚本術がいかにハリウッドで重宝されるかが知れます。小説にも役立つので、プロ作家になりたい人は読んでおきましょう。

宮本くみこ
ライター
小説・シナリオ・エンタメを愛しています。小説書けずに苦節20年→脚本修行のため公務員辞めて上京→なんか違うと絶望→小説の真髄発見。普段は占いライターしながら小説・シナリオを書いてます。目標は国際アンデルセン賞受賞。「私自身が最高の物語」と自負してます。
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