先日公募に出した作品が一次選考で落選しました。
悲しいけど、仕方ないことです。
様々な条件が絡むので、一概に「ダメ」「いい」で決まったわけではないでしょうし。
ただ私は、本記事で恥を晒したいわけではありません。
落選を通して「とある気づき」を得たので、シェアしようと本記事を書いたのです。
雑談っぽくなりますが、よければお付き合いください。
もしあなたが落選して「受賞できないから持ち込みしてやる!」と思っているなら、プロ小説家デビューしたいなら出版社へ持ち込みするなもご覧ください。
なぜ一次選考を通過できないのか
落選した理由は多々あるでしょう。面白くなかったかもしれないし、賞に不適格だったかもしれません。
ただ今回私が思ったのが「文字数が足りない」。
商用作品は、大抵10万字を必要とします。なのに私の作品は、原稿用紙50枚ほど。規定内の枚数とはいえ、下限ギリギリでした。
これが大きな意味を持つことに、今回気づいたのです。
なぜ10万字が必要なのか
先日、二冊の本を読みました。「職業、ブックライター。」と「小説家になって億を稼ごう」です。
実用書と小説。まったく違うジャンルですが、ともに売れっ子作家が書いた本です。
その中で、共通して登場した言葉が「10万字」。
10万字は、原稿用紙250~300枚程度。単行本一冊の文字量です。
つまり10万字ないと、一冊の本が作れない。売り物にならないのです。
これは食品の基準検査に似ています。
例えば、夏すいか日本一として有名な「尾花沢すいか」。JAの規定糖度を超えないと「尾花沢すいか」として販売されません。どんなに美味しくても、「尾花沢すいか」になれないのですね。
同様に、どんなに面白い小説を書いても、文字数が足りなければ商業出版は難しいでしょう。
10万字に満たない作品は、どんなに優れていても本にできない。できないことはないでしょうが、よほどの事情がない限り、商業出版されないでしょう。出版不況な世の中ですしね。
薄い本(10万字以下)は売れにくい
ある程度の書籍ボリュームがないと、売れにくくなります。
もし半分の5万字で本を作っても、売れるかどうかは別問題。読者は「お金を出すなら、より長く楽しめる本」を買います。一定の厚みがないと、割高に見える。結果、買われにくくなるのです。
受賞は、もっとも著者に注目度が高まるチャンス。ぜひとも受賞タイミングで出版すべきです。なのに文字数不足で本にできなかったらモッタイナイ。販売チャンスを逃すでしょう。即座に書籍化するためにも、一作で単行本になる長編作品を書くべきです。
本にしたいなら10万字を書いてください。10万字は、商業作家になる必要最低条件なのです。
なお電子書籍なら、文字数無制限でセルフ出版も可能。興味ある人は電子書籍の作り方&売り方|kindleセルフ出版の流れをご参照ください。
10万字の持つ意味
逆に言うと、10万字書ければ作家になる道はグッと近づくでしょう。
どうやらブックライター界では10万字書けない人が多い。だから10万字書けるだけで、評価が上がるようです。
小説も長編作品を望まれることが多い。10万字書けても損はありません。連載や次回作にも役立ちます。
ただ文字数で聞くと簡単そうに思うでしょう。しかし、それほどに大きな物語を組み立てられる思考力や構成が必要です。
大前提「面白い」があった上で10万字書ければ、受賞はグッと近づくでしょう。「ただ10万字書けばいい」わけではないことをご理解くださいね。
面白いについては、面白い小説を書くために作者がすべきこと|全フィクション共通もご参照ください。
10万字を書ける作家を目指そう
「面白い作品さえ書けば、文学賞は受賞できる」と今まで思っていました。
しかし10万字書けないと、商業作家になるのは難しいでしょう。
単行本1冊作るのに、必要な文字数が足りません。
規定に満たなければ、どんなに素晴らしくても評価されないのが世の常です。
逆に10万字書ける作家は強い。ブックライターとしても小説家としても、重宝されるでしょう。
簡単なことではありませんが、まずは10万字を目指しましょう。それが作家への最短ルートになりますよ。