行間って、どう読むんですか?
先日、小説講座で寄せられた質問です。
行間を読むには「地の文に何が書いてあるか」を知るのが一番の近道でしょう。
本記事では、地の文の読み方と行間の読み方について解説していきます。
かつて「地の文って何が書いてるの?」と気になり、調べたことがあります。
セリフの意味やト書きなど、媒体形式ごとに地の文の解釈は異なるので、それはまたの機会にお話ししますね。
しかし本記事を読むだけで、行間を読む力がグッと上がりますよ。
行間を読む時、地の文を読むべき
文章には情報が書かれています。
小説やシナリオ等の創作だけでなくて、実用文にも同じことがいえます。
実用文であれば、読者に知らせるべき有益な情報を。
創作であれば、物語を読み進める上で必要な情報が書かれています。
いずれにせよ、読み進める上で読者に伝えなければいけない情報が記されているのですね。
小説の場合、主にセリフと地の文で構成されています。
セリフは、キャラクターが言ったことですね。
本人が直接言ったことなので、読んだままに理解できるかと思います。
地の文には、セリフ以外のすべてが含まれます。
行間を読む上で必要なのは、主に地の文になるでしょう。
もちろんセリフにも技巧がないわけではありません。
しかし本趣旨と異なるので、今回は割愛します。
地の文は<作品に必要な情報>が書かれている
地の文には、セリフ以外ので伝えるべき情報が詰まっています。
モノローグ(心の声)、場面や状況の説明。時には作者の意見もありますよね。
地の文で重要なのは、作品に必要な情報を書くこと。
基本的には、何を書いても構いません。
創作で頻繁に起こるしくじりは、説明不足。
ただ文章を重ねているだけで、読んでいる方には無意味な文章の羅列になることが多々あります。
「読者がわかってくれない!」となるのは、情報不足か説明下手のいずれかになるでしょう。
説明するために文章を重ねる
作品を読んでもらい、思った反応が返ってこない時、人は「なんでわかってくれないんだ!」と怒りがち。
「こっちはちゃんと書いているのに、理解できないなんてアホだ」と読者を罵りたくなります。
しかし、現に読者に伝わっていないなら、それは作者の力量不足。
作品が【作者の自己満足】に終わっていそうです。
シナリオ学校時代の話です。同期と作品の読み合いをしたのですが、作者が口頭で解説すると、新情報がドンドン出てきます。「それ書いてた?」と尋ねると、自信満々に「書いてない」と答えるのです。
当たり前ですが、書いてないことは伝わりません。
あなたは読者の横で解説できないのですから、文章だけで物語世界を理解させる必要があります。
例題:「犬が来た」をイメージしてください
例えば「犬が来た」と書いたとします。あなたの脳内には、どんな映像が浮かびますか?
- 小型犬が楽しそうに駆け寄ってくる
- 獰猛な大型犬が襲いかかってくる
犬や場面を細かく指定していないため、どちらのイメージも正解です。
しかし、あなたは子犬のつもりで書いたとします。
でも読者は大型犬のつもりで読んでいたら、どうでしょうか?
ある時点で、読者は「自分の解釈は違う?」と気づき、読んでいる最中に混乱します。
犬の指定なんて、本当に小さなことですよね。
しかし、この混乱が「読みづらさ」「伝わりづらさ」につながります。
このような誤認が頻繁に起これば、読むのが面倒ですよね。そして、あなたの作品が読まれなくなるのです。
作者の想像通りの映像をイメージさせるには
些細な認識の違いは、日常会話でも起こりますよね。
「マコトさん」と聞いて、あなたは男性と女性、どちらを思い浮かべますか?
「女性だと思って聞いてたら、男性だった」
この逆も、頻繁に起こるのではないでしょうか。
人の認識は、「これまで生きてきた人生の中で培われた経験」をもとに作られています。
これは各自の考え方の癖なので、一概に直したり責めることはできません。
「こうすべき」「これが正解」という基準はないでしょう。
だったら、最初から特定の物がイメージできるように誘導する言葉を使うべきです。
例題:天翔ける馬をイメージしてください
例えば「天翔ける馬」と聞いた時、あなたの脳内の馬は躍動していませんか?
「駆ける」という言葉が「走る」という意味を持っています。
そのため、あなたの脳内の馬は躍動するわけです。
さらに走っているのが天。
普通の馬は、天を走れないですよね。
そのため、あなたの脳内にはペガサスが連想されたのではないでしょうか。
そしてペガサスと言うと、一般的には白いですよね。
よって、あなたの脳内には「白い馬が天を走っている」そんなイメージが浮かんだかと思います。
しかし背景(天の状況)までは、指定していません。
雲ひとつない青空かもしれないし、雲の海原を走っているかもしれません。
もしくは夕焼けの中、シルエットだけかもしれませんね。
重要でないことは、指定しなくて構いません。読者の想像に委ねましょう。きっと一番素敵なイメージを思い浮かべ、映像世界に浸ってくれますよ。
これがもし「天翔ける馬」ではなく「ペガサス」と言われていたら、どんな映像が浮かんだでしょうか。
ただ四つ足で立っている。そんなイメージかもしれません。
少なくとも、先ほどの躍動感は出ないかと思います。
このように、思い浮かべてほしい映像を連想するような言葉を使うと、相手の脳内に作者のイメージがそのまま再現されやすくなります。
しかし、100%再現されるとは限りません。そこは覚悟しておきましょう。
先ほどの天駆ける馬も、解説とは違ったイメージだったかもしれません。しかし、それでよいのです。
正直な話、相手の思考は予測しきれません。ただ最大限配慮することはできます。
どう書いたら、イメージしやすいか。読者に伝える努力は怠らないでくださいね。
行間を読む時のポイント
では行間を読むには、どこに着目すればいいのでしょうか?
私は動詞や形容詞を見ることをオススメしています。
例えば「ママが小言を言った」とします。
でもこれだけだと、どんな状況かいまいちピンとこないですよね。
なので「どんな」の部分を補足してみたいと思います。
- いつものようにママが小言を言った
- 珍しくママが小言を言った
両者では、小言の受け止め方が全く異なるのではないでしょうか。
「いつも通り」であれば、無視したって構わない。だって毎日言うのですから。
しかし普段小言を言わないママが言ったとなれば、受け手は重大に受け止めるでしょう。
感じ方が変わるので、受け手(キャラクター)の対応も変わってきます。
キャラクターの態度が変われば、相手の反応も変わります。
些細な表現を読み取ることで、明記されていない感情の機微に気づくことができるでしょう。
地の文には作者が伝えたい情報が詰まっている
小説の地の文には、セリフ以外の情報が詰まっています。
「作者は何を意図して書いたのか」を読み解くことで、行間が読めるようになるでしょう。
行間のある文章の書き方は、本人のセンス次第。
たくさん本を読むのもいいですが、文章に接した時
- どんなイメージが湧いたか
- どんな印象受け取ったか
これらを考えながら読み進めると良いでしょう。
実用文の中にも、こういった表現は使われていますよ。
いずれにせよ、自分で気づく必要があります。
ぜひ宝探し気分で文章を読んでみてくださいね。
なお「イメージしやすい文章」を文章を書きたいなら、映像化を前提としているシナリオを読むのがおすすめです。
下記記事でシナリオの入手方法を解説しているので、気になる方はチェックしてみてくださいね。