2021年10月に突然閃いてから、なぜか小説が書けるようになりました。以降は安定的に自作を作っていたのですが、2022年末に久々に失敗しました。「あ、これ違うな」と思い、筆が止まってしまったんです。
この失敗を通して「スラスラと書ける作品と書けない作品には違いがある」と感じました。本記事ではその違いと失敗した原因についてご紹介します。
小説が書けなかった原因
書けなかった最大の原因は「思考不足」です。そして書けるor書けないの最大の違いも、この思考不足に当てはまります。
ここからは実例として、私の失敗体験をご紹介します。
【実体験】小説が書けなかったエピソード
今回私が書こうとしたのは短編小説です。着想から3日後に書き始めました。だいたいの構成、オチは決まっており、キャラ設定も肝要な部分は決まっていました。
構成としては江戸川乱歩の「人間椅子」と同じ。冒頭部とラストに主人公の描写があり、作中の大部分が第三者からの手紙となります。(私の作品では日記としました)
手紙を読むほどに真実に近づき、じわじわと恐怖が忍び寄る演出を自作で使いたいと思いました。
未読の方は要チェック!
※オチを知っているなら、ホラー苦手な人でも読めるはずです。
どこでつまずいたか
私が失敗したのは、ズバリ日記の部分。ここが肝なのに、まったく中身がありません。
ただ意見を淡々と並べただけなので、説得力&信用性ゼロ。ただの意見陳述になってしまいました。
これでは読者どころか、主人公だって怖がりません。明らかに失敗でした。
まさしく以下のダメな例を実践した形です。面目ない……。
→【納得】勢いで小説を書くと失敗する理由と対処法
思考不足と感じた箇所
思えば、冒頭部とラストは決まっていましたが、肝心の日記の部分は適当に考えていました。「ひとまず書いてから考えよう」と。大まかな内容は決まっていましたが、肝心の「どう書くか」「何を書くか」が曖昧なままでした。だから思いつくままに書いて、色々と足りない文章になったのですね。
ひとまず本作では完成しているラストまで書いて、後から日記の部分を追記しようと思います。実質的な全編書き直しになります。
思考不足の落とし穴
私の場合ですが、こういったケースがとても多い。大まかな構成は決まっているけど「細かいところは書きながら考えよう」として省略してしまうのです。しかし、この「省略した部分」が創作では何より重要なのです。
省略した部分は話の説得力を持たせると同時に、作者のオリジナリティが出せる場なのです。
例えば、ロミオとジュリエットを考えてみましょう。こっそり結婚式を行い、順風満帆な二人ですが、ある事件がきっかけで引き裂かれてしまいます。そこから二人は離別し、死へと進んでいくのです。
このある事件とは「ジュリエットの従兄弟をロミオが殺してしまうこと」なのですが、ではなぜ殺されたのか。どうして従兄弟と会うはめになったのか……。ざっくりとした話であればすぐに思いつきますが、書くためには深く考える必要があるのです。殺した理由がなければ、読者は納得しません。作者の説明力が求められます。
もちろん別の理由で二人が離別しても構いません。思いもよらない理由であれば、読者は驚嘆するでしょう。しかし理由を受け入れるには、論理的な説明が不可欠です。この説明ができなければ、読者は不満を感じるでしょう。逆に論理的な説明があれば、突拍子もない理由を理解できます。
その論理を組み立てるためにも、書く前の準備が必要です。見過ごしがちな細かい箇所こそ考えておく必要があるのです。
説得力のある文章が書きたい方はコチラ!
私は文系なので論理とか超苦手なのですが、この機会に学ぼうと思います……。
スラスラと書くために必要なこと
思えば、私がスラスラと書けた作品は、書き出すまでに3年かかってます。着想して1年、考えること1年。「書ける!」と思って書き出すのに1年という感じです。
もっと早くに書き出す作品もありますが、時間がかかった作品の方がスムーズに書ける印象です。
実は失敗した本作も、書く前に「まだ早いんじゃ」と頭のどこかでわかってました。しかし長く書くつもりはないし、さっさと書き上げてしまおうと思ったのです。「早く書かないと、このパッションが薄れそう!」と焦ったのですね。そして書いてやっぱり「思考が足りない」と実感した次第です。
しかも上手く表現できないことで作品の面白さが損なわれてしまい、「この作品は没にすべきか?」と迷う事態に。自分の中の面白判定も曖昧になるので、なおさら自信がない作品は書かない方がいいと感じました。
まだ不安なうちは、小説を書かない方が良いでしょう。じっくり思考を練って、メモ書きに留めた方が確実です。
こちらの記事もご参照ください。
勢いで書くと小説は失敗する
小説を書き慣れていても、思考不足では小説を書き上げることはできません。よほどのプロか天才でない限り、書く前にじっくりと考える習慣を持ちましょう。
見逃しがちな細部ほど、書く時に苦労するものです。しっかり準備してから書くことで、スラスラと書けるようになりますよ。