いいネタが閃いた!すぐに書こう!
アイデアが浮かんだら、勢いで小説を書く人は多いでしょう。小説のハウツー本でも「勢いで書け」なんてアドバイスがありますよね。
しかし勢いで書くと、高確率で挫折します。
途中で止まったり、書き上げてから「思ってたのと違う」「なんか面白くない」と後悔する羽目に。
本記事では、勢いで書くと失敗する理由と対処法をご紹介します。
読み終えた頃には、あなたのアイデアがしっかりと活かせるようになりますよ。
勢いで書くと失敗する理由
勢いで書くと失敗する理由は、二つあります。
- 考えながら書いている
- 何が面白いか、作者自身わかってない
考えてから書いている方でも、うまく書けない場合は確実にどちらかが含まれています。片方の原因だけでも失敗しやすいのに、勢いで書いた場合は、二つの失敗する要因が含まれるのです。
考えながら書いている
勢いのまま筆を走らせ、「思っていたのと違う」「もっと面白くなるはずだったのに」と落胆した経験はありませんか?
大抵の人は、思いついたままにパソコンに向かうでしょう。そして考えながら書きます。書きながら思考整理する人も多いですね。
つまり、書いている段階では「この話がどんな話か」が作者にも見えていません。
もちろん書きながら整理しても構いません。ただ自分が想像していたものと大きく離れることになりがちです。
また、当初の勢いがなくなると書けなくなるという欠点があります。
「次の日になったら書けなくなった」「一区切り書いたら、満足した」なんて経験はありませんか?
勢いで書くと、情熱に進捗状況が左右されます。作品を完成させられず、ボツになる。せっかくのアイデアが無駄になったら、悲しすぎますよね。
何が面白いか、作者自身わかってない
アイデアが閃いた当初は、作者自身「このネタの何が面白いのか」を理解しきれていません。閃いた当初は「なんか面白い」「斬新」程度に留まるでしょう。
作者が思う「面白さ」は、作品内で表現しなければなりません。なぜなら、この作品の面白さを知っているのは、世界で唯一、作者だけだからです。
「ここが面白い!」というポイントを作品内に入れなければ、読者はこの作品の何が面白いかを理解できないでしょう。
よく「読者が好きに想像してくれたらいい」と、大事な所を丸投げする作者がいます。しかし読者は「大事な所」が知りたくて読んでいます。作者でも理解していないものを読み取れなんて言われても、困るわけです。
作者が「作品の面白さ」を理解できなかったら、世界中の誰も「この作品の面白さ」を理解できないでしょう。
アイデアの魅力を活かすためにも、作者は「何が面白いか」を理解する必要がある。そして作品内で面白さを表現する必要があるのです。
勢いで書いた作品は面白いのか?
ここで一つ考えてほしいことがあります。もし勢いで作品を書き上げたとして、その作品は面白いのでしょうか?
ここに一つの作品があったとします。「私が思考整理のために、適当に書いた物語です」と紹介されたら、読みたいですか?大抵は読みたくないでしょう。「馬鹿にしてんのか」と怒られそうですね。
「思考整理のために書いた」は、あくまで作者の都合。作者の都合を押し付けた作品なんて、読者が魅力的に思うでしょうか。
もしあなたが有名な作家だったら、読みたい人がいるかもしれません。しかし残念ながら、無名な素人の作品を好き好んで読む人はいないでしょう。
読者はあくまで「読者の都合」で作品を選びます。自分が読みたい作品を読むのです。「読者の都合」に合わない作品は、読まれない可能性が高い。
作品は「読者のため」に書きましょう。自分のアウトプットにために書くのは、メモに留めた方が賢明です。
勢いで書きたくなった時の対処法
勢いで書きたくなった時は、どうしたらよいのでしょうか。
対処法として、「この話の何が面白いのか」を先に書き出してください。
その上で、書きたかったら、勢いのままに本編を書きましょう。
どういうことか、詳しく解説していきますね。
ネタの面白さを書き留めておく
まず「このネタの何が面白いのか」を掘り下げておきましょう。
思いついたままでもかまいません。メモ書きで十分。ただし、すべて紙に書いておいてください。
掘り下げる時は、問答法を使います。
- この話の何が面白いのか
- なぜこの話に惹かれたのか
- なぜこの物語を書きたいのか
このように「なぜ」を投げかけ、自分の物語を深めましょう。
ひらめいた当初はとても魅力的に見えても、時間が経つと忘れてしまいます。「なんでこの話が面白かったのか」「何が魅力的だったのか」が、わからなくなるのです。そのため、何か閃いたら必ず「この話の面白さ」をメモしてください。
物語を閃いた当初が、その物語を一番面白く感じているピークです。
その時の気持ちをぜひ書き留めてください。他の面白さを見つけたら、それもメモして欲しいですね。
後日そのメモを見て「面白い」と思うのなら、このネタはいつか書くべきです。逆にメモを見て「面白くない」と思ったら、その話は面白くないでしょう。書く必要はありません。
「この話の何が面白いと思ったか」を基準にして、これからの執筆活動に活かしてください。
書いた作品を完成させる
勢いで書くのを勧めない理由は、挫折率が高いから。挫折しないなら、むしろ勢いでもドンドン書いてほしいですね。ただし、これは最初に「何が面白いか」をまとめたメモ書きとは別の作品と割り切った方が良いでしょう。
書き終えた上でメモ書きを見て、それでも書き上げた作品が魅力的だと思うなら、この話はブラッシュアップしましょう。もし魅力的に見えなかったら、この話を一旦終えて、メモ書きをもとに新しい物語を書いた方がよいですね。
いずれにせよ、物語は完成しないと、読者が読むことはできません。どんなに素晴らしい話でも、完成作品でなければ評価されないのです。
駄作に労力を割く必要はありません。むしろ時間の無駄です。ただし、面白いと思えるものなら、絶対に完成させる。そのことを意識してください。
アイデアを活かすためにも考えてから小説を書こう
挫折率が上がるので、私は勢いで執筆することをお勧めしません。しかし勢いがあるうちに書いておいた方がいいものは、存在します。
気持ちが熱いうちに「この話の何が面白いのか」「この話の何が魅力なのか」をぜひ掘り下げてください。これらの気持ちは徐々に消えたり移ろい、後でわからなくなりがちです。
読者はあなたの話の何が面白いのか、わかりません。だから作者が、説明してあげる必要があるのです。
それなのに、もし作者が自作の面白さを知らないとしたら、読者も作品の面白さを理解できませんよね。読者にとっては、読む意味すらなくなるでしょう。
せっかくひらめいたアイデアです。ぜひ何が面白いのかを整理し、それを説明できるように物語を組み立ててくださいね。
物語作りが苦手な方へ
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