一人称の小説は、どうやって書くの?
小説を書く時、一人称か三人称で書きます。
「初心者は一人称の方が楽」なのですが、書き方に特徴があります。
本記事では、一人称のメリット&デメリットについて解説します。
こんな人にオススメ
- 一人称で小説を書きたい
- 一人称で書くと、視点がブレる
- 一人称か三人称で迷っている
一人称の小説とは
一人称で書かれた小説は、主人公が「自分の物語」を、自ら語ります。
物語は「私」視点で進みます、作中で主人公が自身を「私」と称することも特徴ですね。
主人公目線で話が展開するため、「自分自身のこととして書きやすい」といわれています。
一人称で小説を書く時のメリット
一人称で小説を書くメリットは、次の3つです。
- 自分の心情をリアルに書ける
- 読者が感情移入しやすい
- 書きやすい
自分の心情をリアルに書ける
小説の醍醐味は、心情を長々と書けること。
シナリオ等の映像媒体では、映像化できないものは書けません。
逆に小説は、心情の移り変わりを赤裸々に書けます。
人間は、自分以外の心情を理解できません。
だから他人の心情を読める小説は、貴重な存在なのです。
読者が感情移入しやすい
キャラクターの心情を読むことで、読者が感情移入しやすくなります。
何を考えているかわからないと、そのキャラを理解できないですよね。
主人公の人柄や思いがわかれば、「どうなるのだろう」と動向が気になります。
主人公に感情移入することで、読者が作品に没入しやすくなる。結果最後まで読まれやすくなるでしょう。
書きやすい
一人称は、創作初心者に書きやすいスタイルです。
主人公の心情や考えをそのまま書けるので、「主人公がどうしたいのか」を直接読者に伝えることができます。
作者にとってもが「自分だったら」と、主人公の気持ちを創造しながら書けます。登場人物になったつもりで書けるので、一人称は初心者にもオススメな手法です。
一人称で小説を書く時のデメリット
一人称で小説を書く時のデメリットは、次の3つです。
- 自分の知らないことは書けない
- 相手の心情は察するしかない
- 自分不在の場合、物語が続かない
自分の知らないことは書けない
主人公目線で話が進むので、主人公が知りえないことは書けません。
また、主人公が誤解しても、正してくれなきゃ誤解したままです。
その行き違いを楽しめる作品内容ならいいですが、内容によっては行き詰り続きを書けなくなるでしょう。
相手の心情は察するしかない
一人称では、主人公以外の心情は書けません。なぜなら、主人公は「主人公のこと」しか知らないからです。
相手のことを知るには、聞くか察するしかありません。
でも相手が本当のことを言うとは限らないし、主人公が誤解することもあります。
ちなみに鈍感な主人公が、急にそこだけ敏くなってないか注意。すごく不自然で、ご都合主義に見えます。
また、章ごとに視点が変えるという手もあります。
ただ私はオススメしません。生身の人間は視点の切り替えなどできませんからね。
せっかく積み上げた主人公の心情が途絶えるので、私なら避けます。
自分不在の場合、物語が続かない
時には、自分がいない場所で物語が展開することもあるでしょう。
一人称の場合、主人公不在だと話が続きません。語るべき人がいないのですから。
主人公不在になる話を書く時は、三人称がオススメですね。
また、「後で聞いた話だが」みたいな書き方をするなど、語り方を工夫しましょう。
一人称か三人称かで迷ったら
「誰が誰の話をしているか」を考えると、一人称と三人称が自然と決まってきます。
話者と主人公の関係について考えましょう。
もし一人称と三人称で迷ったら、以下を参考にしてください。
- 主人公の心情を書くか
- 映像的な描写がメインか
- 主人公不在シーンがあるか
心情描写がメインなら、一人称で書きましょう。
逆に映像チックなら、作者と主人公に距離があった方がよいです。三人称にしましょう。
また、主人公がいないと話が進まないなら、三人称にすべきです。
特徴を掴んで一人称を使いこなそう
一人称は読みやすい&書きやすいので、創作初心者には最適です。
書く時は、視点がブレないように注意。友達に自分の話をするつもりで書くと、書きやすいでしょう。
一人称と三人称では、書き方が異なります。違いを掴んで、最適な形で作品を書いてくださいね。
【予告】三人称の記事は、後日公開します。
推薦図書:ABC殺人事件
アガサクリスティーの語り方は、とても勉強になります。以下を兼ね備えているので、着目しながら読んでみてください。
- 自分不在でも物語が展開する
- 誤解や行き違いを上手に活用する
- 語り手と主人公が違うのに、視点が混ざらない