シナリオってどこに売ってるの?
脚本が書店に並んでるイメージって、あまりないですよね。私も26歳に県内一の大型書店で見つけるまでは、一度も人生でシナリオを見た事がありませんでした。
しかし、シナリオの入手方法は、たくさんあります。本記事ではシナリオの入手方法についてお伝えしますね。
この記事を読み終えた頃には、シナリオがもっと身近に感じられますよ。
「なぜシナリオが必要になる?」と思った人は、先にこちらをお読みください。
→映画脚本の分析方法|名作から構成&テクニックを学ぶには
シナリオの種類と取扱い場所
シナリオは書店や図書館、通販などで簡単に購入できます。しかし、見つけにくいという問題が。
ここからはどんなシナリオがあるか、どこで読めるか等についてご紹介します。まずは手近なものを一冊入手して、読んでみてくださいね。
最近はkindleでも取り扱いがあるので、電子書籍派の人はkindleで読めるシナリオ|連ドラ、朝ドラ、大河までをご参照ください。
雑誌
シナリオには、専門雑誌があります。本記事で、一番入手しやすいシナリオです。
- 月刊シナリオ(映画脚本)
- 月刊ドラマ(テレビドラマ脚本)
- テアトロ(演劇脚本)
月刊シナリオ・月刊ドラマは、映人社発行。テアトロはカモミール社発行。
上映前のシナリオばかりなので、ネタばれに思うかもしれません。しかしシナリオは「読んでから見る」方が、断然勉強になります。ガチで勉強したい人は、先に読みましょう。
読むのが先である理由は、こちらの記事で紹介しています。
→映画脚本の分析方法|名作から構成&テクニックを学ぶには
検索するときはシナリオの他に「月刊」や「雑誌」と付けるのを、お忘れなく。シナリオだけで検索すると、無関係な本が膨大に出てきます。
書店では、映画雑誌や芸能雑誌コーナーに並んでることが多いですね。
時々、キネマ旬報にもシナリオが掲載されています。昔は頻繁に載ったようですが、近年では城戸賞の受賞作が主かと。古本屋に行った時は、古いキネマ旬報も要チェックですね。
シナリオ集
シナリオ集は、1冊に複数シナリオが掲載されています。
期間別・作家別・作品シリーズ別など、種類は様々。
値段は高めですが、系統的に学びたい人にはおすすめです。
年鑑代表シナリオ
月刊シナリオの年間版として、「年鑑代表シナリオ」があります。その年のベスト脚本10本が掲載されています。
月刊シナリオから選りすぐった映画が載っているので、月刊シナリオの愛読者は物足りないかもしれません。
私は月刊誌を読みつつ、「今年の10本に入りそう」と予測するのも大好きですが(笑)
月刊誌と違い、公開済の作品ばかりなので、DVDを見ながら読むこともできますよ。
ちなみに直近で私が一番好きな号は、2016年版。
シン・ゴジラや漫画原作が多い中、団地が一番のツボでした。
日本名作シナリオ選
「どうせ学ぶなら最高の作品がいい!」「本気でプロになりたい!」という人には、日本名作シナリオ選がおすすめ。「日本で最高のシナリオはどれだ⁉」の編集意図の下、厳選された21本が掲載されています。(上巻11本/下巻10本)
2016年刊で入手しづらいですが、本気の方は手元にあった方がいいでしょうね。どの脚本も面白いです。
もし買えなかったら、近所の図書館に行ってみましょう。大きめな図書館なら、置いているかもしれません。
作家ごとの全集
有名脚本家だと、全集が発売されているケースもあります。
黒澤明全集なら、図書館の全集コーナーにあることも多いですね。
シナリオは掲載されてませんが、黒澤作品を解説した「脚本家 黒澤明」も超オススメ! 人物相関図やシーン別の解説もありますよ。
→詳しい記事はコチラ
中島丈博シナリオ選集は、比較的入手しやすいかもしれません。号によって特徴があるので、収録作品を確認してから買いましょう。
近年では、笠原和夫全集が発売されました。総長賭博シリーズ、私も欲しいなぁ…。個人的には、高田宏治全集も併せて発売してほしいところです。
ただし売れないためか、なかなか全集は発売されません。見つけたらラッキーです。ぜひ手にとってみてくださいね。
一般図書
人気作は、シナリオそのものが一冊の本として発売されます。
最近では、おっさんずラブのシナリオ集が販売され、大いに評判を得ました。
木更津キャッツアイのシナリオ集も、書店で手に入ります。
前書きが勉強になりすぎて、試し読みして欲しくなりました!!
また、ファンタスティックビーストもシナリオ集も発売されましたね。
和訳済の海外脚本は入手しにくいので、何気に貴重です。
ジブリ作も、時々発売されています。私はコクリコ坂からの文庫版シナリオを持っていました。
ただし、見つけるのが困難です。書店の新刊コーナーに並んでいたら、超ラッキー。
あとは映画専門書と同じコーナーに並ぶでしょう。扱いによっては「一般図書」「文庫本」コーナーに並びます。
いずれにせよ、一度見失ったら再発見は難しいです。新刊コーナーに並んでいたら、すぐさまゲットしたいところですね。
人気作家の著作
テレビドラマ界の大御所は、著作にシナリオ集があることも。
向田邦子や山田太一なら、比較的入手しやすいでしょう。シナリオになっていなくても、原作として学べます。
小説・シナリオ・映像作品で、見せ方は微妙に異なります。全作品を見比べることは非常に勉強になるので、試してみてくださいね。
どうやら向田邦子は、kindleで入手しやすいようですね。後日検証記事を書きます。
映画のパンフレット
昔の映画は、パンフレットにシナリオが掲載されていました。現在でも一部の映画には、パンフレットにシナリオが掲載されています。
ただ、現在では掲載されている方が少ない。もしシナリオ目的でパンフレットを買うなら、必ず中身を確認しましょう。試し読みや店員さんに聞いてみてくださいね。
映画祭等で発行している小冊子
日本全国で行われる映画祭には、シナリオコンクールを開催しているものもあります。受賞作が掲載された小冊子を発売することもあるので、ぜひ手にとってみましょう。
映画祭小冊子のいいところは、クオリティが低いところ。悪い表現方ですが、完成度の悪いシナリオはなかなか入手できません。実は完成度の低いシナリオは、かなり勉強になります。しかし一般には流通していません。発売&公開されている作品はプロの完成品なので、非の打ち所がない。素人作品を見るには、仲間を作るか脚本学校に入るしかないのです。
映画祭の小冊子に載っているシナリオは、すべてがハイクオリティではない。中には「なぜこれが受賞したの?」と首を傾げたくなる作品が。いかにも素人が書いたシナリオもたくさん載っています。
下手なシナリオを分析することは、多くの学びを得られます。「どうしたら面白くなるか」「面白くない原因は?」等、なぜこの作品が掲載されたのかを学ぶことで、シナリオを見る目&磨く目が培われるでしょう。
賞の傾向も分かるので、自分が出す時の参考にできますしね。
それに映画祭の小冊子には、未来の脚本家や映画監督が紛れている可能性も。歴代受賞者もさかのぼって小冊子をゲットしたいところです。
松竹大谷図書館
銀座に演劇と映画専門の図書館があります。その名は「松竹大谷図書館(しょうちくおおたにとしょかん)」。歌舞伎や舞台脚本を中心に、映画・ドラマ・アニメ等、あらゆる脚本が揃っています。
基本的には寄贈で成り立っているので、ない作品もあるでしょう。
しかし、中には一般に流通していない珍しいシナリオもあります。
特に歌舞伎の脚本は充実していて、何年版のように読み比べができます。
私のおすすめは、同一作品の媒体ごとの読み比べ。
例えば、黒澤明監督「生きる」ですが、2018年に舞台になりました。私は映画も舞台も見たのですが、やはり映画版の方が好き。映画版で好きな部分が舞台ではカットされ、映画版でつまらなかった箇所が舞台版だと面白くなってます。
同じ作品を見比べることで、手っ取り早く媒体の違いを感じられますよ。
一番見比べやすいのはふるあめりかに袖はぬらさじでしょうか。舞台、シネマ歌舞伎、原作など、たくさんの媒体で見比べができます。
また、作品によっては決定稿・最終稿の読み比べも可能です。
※決定稿・最終稿の解説はこちらからどうぞ
以下に該当する人は、松竹大谷図書館を使ってみてください。
- 昔好きだった作品を読みたい
- 古い作品も読みたい
- 舞台に興味がある
- 実際に撮影で使われた台本を読みたい
閲覧方法がちょっと特殊なので、事前に調べてから行くことをオススメします。
シナリオ入手時の注意
ここからは、シナリオを買う時のあるあるを2つご紹介しますね。
シナリオ集めが目的になる
シナリオは必要なものだけ買いましょう。間違っても集めないように。なぜならシナリオはかさばる上に安くない。買ってから後悔します。
実は、シナリオには相性があります。相性が悪いシナリオは読みづらく面白くない。相性がいいシナリオは読みやすい上に最高に面白いです。
しかし、こればかりは読まないとわからないんですよね。しかも多数読まないと「自分に合うシナリオ」が見極められません。そのため、ついついシナリオを買い集めてしまうのです。次第に集めるのがメインになったり、「有名作は全部手元に置きたい!」など、目的がすり替わります。
最初はなるべく買わずに、たくさん読みましょう。図書館なら、全集がある可能性が高いです。買うのは、安価な月刊誌にするなど、うまく活用してください。
そして自分が本当にいいと思ったものだけを手元に置くようにしてくださいね。
欲しいシナリオが売ってない
欲しいシナリオが売っているとは限りません。売っているシナリオの中から、自分に合うシナリオを探した方がはるかに早いです。
どうしても読みたい作品がある場合は、松竹大谷図書館に行きましょう。しかし必ず所蔵しているとも限りません。
最終手段は、映画を見て自分で書き起こす。
大変だし面倒くさいですが、一番実力が身につく方法です。一本分自分で書いているのですから。脚本修行に必須の「シナリオ書き写し」をしているようなものですね。
「欲しいシナリオがなかったら、自分で作る」ぐらいの気概を持って取り組むと、上達が速くなります。
シナリオを購入したら、学習方法に使いましょう。最初の学習として映画脚本の分析方法|名作から構成&テクニックを学ぶにはがオススメです。
シナリオは簡単にすぐで手に入る
シナリオは、書店、古本屋、Amazonでも買えます。図書館に配架してる場合もあるので、ぜひ検索してみてください。大きな図書館だと、月刊シナリオと年鑑代表シナリオが両方所蔵されていますよ。
検索する際、「シナリオ」だけだと全く関係ないものが無数に出てくるので注意。「月刊シナリオ」や「年鑑」(※年間にならないよう注意)を入れるようにしてくださいね。
推薦図書:3年でプロになれる脚本術
脚本を買った「後」について学べます。シナリオの勉強法が学べるので、初心者にも最適ですよ。