キャラが薄い時の対処方法|掘り下げ方&考えるポイント

「キャラクターが薄い」「主人公が何を考えてるかわからない」

シナリオ学校や公募の批評などで、よく見る言葉です。作者自身、キャラクターの掘り下げが足りないと自覚しているかもしれません。

でもこの認識、私的には少し違う。もちろんキャラを掘り下げることは重要ですよ。でもそれ以上に「人物の捉え方がずれている」という印象なのです。

本記事では、人物の捉え方&キャラクターの掘り下げるべきポイントについてご紹介します。

主人公を作る時は、好かれない主人公あるある|特徴6選+αも参考になります。

目次

演劇ワーク「ドアの開け方」

皆さんはドアを開ける時、どう開けますか?

「普通に開ける」「ガチャっと開ける」多分こんな答えになるかと思います。

もしドアを壊す勢いで、ドンっと開ける人がいたら、どう思いますか?

「イライラしてたのかな」「ガサツな人だな」こんな風に思いませんか?

あと、こんな人っていますよね。

  • どんなドアでもうるさく開ける人
  • 忍者なのかと思うほど、スッと入ってくる人

もしかしたら、具体的な誰かの顔が思い浮かんだかもしれません。

人は、行動から「何か」を読み取ります。

「何か」は、感情の時もあれば、人柄性格の時もあります。心理状況が出ることもあるでしょう。また、置かれている状況で、開け方って変わります。

先ほどイメージしていただいたドアの開け方、あなたは病院でも同じように開けるでしょうか?

  • 恋人の家なら?
  • 義実家なら?
  • 社長室のドアなら?
  • 廃墟なら?

多分同じ開け方にはならないと思います。

些細な状態が、行動に表れる。つまり行動には、その人がそのまま出てしまうのです。

ジャイアンとスネ夫は、いかにドアを開けるか?

行動をこだわると、どんなことが起こるでしょうか。ここからは、実例を使って考えてみたいと思います。

「もしもジャイアンとスネ夫が、廃墟のドアを開けるとしたら」を考えてみてください。

この例題は、私が小説の書き方講座で教えている内容です。以前、受講生にこの質問をしたら、下記の答えが返ってきました。

  • ジャイアンは蹴破る
  • スネ夫は開けない、もしくはのび太に開けさせる

実際に二人がしそうな行動ですよね。あなたはどう思いましたか。多くの人が「なるほど!」と納得したのではないでしょうか。

しかし、この答えはあくまで一個人の意見。ドラえもんの関係者でもなく、物語のプロが分析した答えでもありません。

なぜドラえもんに無関係な素人の意見に、あなたは同意できたのでしょうか?

理由は簡単。この行動を、彼らが本当にやりそうだから。しっかりとジャイアン・スネ夫の性格を捉え、行動に反映されているからです。

また、ジャイアン・スネ夫の性格が、一般視聴者の間で共通認識となっているのも大きなポイント。普段の放送で、「二人はこんなキャラクターですよ」としっかり見せている。だから、一般視聴者が「こんな動きをしそうだな」と想像できるし、他の人も共感できるのです。

二次創作が一次創作よりハードルが低い理由

一次創作は苦手でも、二次創作なら得意という人もいるかもしれません。

二次創作は、一次創作より手間がかかりません。なぜなら、すでにあるキャラクターをそのまま使えるからです。

既存作品(特にヒット作)は、キャラクターがしっかりしていることが多い。そのため、「このキャラは、こんなことしそうだな」と読みやすいのです。

一方で、一次創作では、性格から行動、信念まで、すべてを作り上げる必要があります。

適当に作ればすぐ完成するでしょう。しかし、魅力あるキャラクターを作るなら、かなりの思考が必要。考えるのが苦手な人は、放棄したくなるレベルです。

本来、存在しない人物を生み出すとは、それほど大変な作業なのだと覚えておいてくださいね。

考えや人柄が行動にどう影響を与えるか?

行動には、その人が出る

それはわかったとして、実際どのように創作に生かすのでしょうか。例題として、以下を考えます。

無理やり参加した合コンで、どのように振る舞うか?

ぜひ想像してから、以下を読み進めてくださいね。


いろいろ思いついたのではないでしょうか。具体的にはこんな感じでしょうか。

  • とりあえず話を合わせておく
  • めちゃくちゃ楽しむ
  • 酒だけ飲んで黙ってる

確かに行くきっかけとしては、無理やりだったかもしれません。しかしその場が楽しければ、本人もそれなりに楽しむはずです。

本当に楽しいなら、「来れてラッキー!」とはしゃぐでしょう。

もし気を遣っているのなら、楽しんでる振りをするかもしれませんよね。

彼女を作る」が目的になれば、いい感じの子には、自分からグイグイ行くはず。

もしも「この場をやり過ごす」つもりなら、積極的には関わらないはず。帰りづらくなりますからね。

もしかしたら30分で帰るかもしれません。本人がこの場にいる目的は、参加義務を果たすだけですから。

このように「何を考えているか」「何を目的としているか」「どんな感情か」等で、人間の行動は全く変わります

「本当にその動き方をするか?」常に自問しよう

ベースとなるキャラクターの性格も重要ですが、人生の目的や考え・気持ちを決める方が何倍も重要です。

  • あなたのキャラクターは、どう考えているでしょうか?
  • そう考えた時、本当にそのような動きを取るでしょうか?

おばあちゃんが倒れた時に、合コンって行きますかね? 普通に考えたら、おかしいでしょう。しかし、作者はついつい有り得ない行動をキャラクターに強要しがちです。

気持ちと行動が矛盾してないか考えましょう。考えや感情が行動に表れているか、見直してみましょう。

その人らしさは、細部に表れます。あなたのキャラクターの人柄が滲み出るように、思考や行動を設定してみてくださいね。

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宮本くみこ
ライター
小説・シナリオ・エンタメを愛しています。小説書けずに苦節20年→脚本修行のため公務員辞めて上京→なんか違うと絶望→小説の真髄発見。普段は占いライターしながら小説・シナリオを書いてます。目標は国際アンデルセン賞受賞。「私自身が最高の物語」と自負してます。
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