この主人公、なんだか好きになれないな
好かれない主人公を書くと、作品が読まれにくくなります。読者は主人公に感情移入して、物語世界を読み進めます。そのため、共感できない主人公には没入できず、物語を読む気が失せます。せっかくの作品が読まれなくなるでしょう。
本記事では、好かれない主人公の特徴をご紹介します。
内容がつまらないと、そもそも読まれません。つまらない小説あるある|自分の小説がつまらない人必見もご参照ください。
好かれない主人公の特徴
小説とシナリオでは、好かれる主人公像が異なります。しかし共通する好かれない特徴があるのも事実。
詳細は小説とシナリオ、何が違う?|6つの違いと特徴まとめの2-5「売れる必要性」をご参照ください。
本記事では、媒体問わず好かれない主人公の特徴を6つ+αで解説していきます。
受動的
受け身の主人公は好かれません。苦悩して困難に立ち向かっていく姿に、読者は感動するからです。
棚ぼた式に幸せになる人って、なんか嫌ですよね。人生舐めてるように見えます。受動的ということは、勝手に幸せがやってくるということ。つまり運次第。読者にとっては、ご都合主義に見えるでしょう。
物語に対して能動的に取り組む、そんな主人公を作りましょう。
作品内で解決すべき問題がない
問題を抱えていない主人公の物語は、読む価値がありません。その問題を解決するために、物語が存在します。だから問題がないと、そもそも物語にすべきじゃないのですよね。
時々、無理やり問題を作っている作品があります。両片思いとか、恋愛ものに多いですね。
「こんな勘違いあり得る?」といった不自然なすれ違いをして、12話まで引っ張る。「一本LINEすればいいだけの話なのに」と思うでしょう。何をそんなに拗れるのか理解できず、「何を読まされているんだ?」と読者が疑問に思います。
ちなみに、問題がない=楽観的ではありません。問題に対して、主人公の自覚や認識は関係なし。主人公に取り組むべき問題があるかどうかで判断してください。
テンプのようなありきたりなキャラ
ありきたりなキャラクターは、反応が読まれやすいです。行動パターンが読めてしまうので、わざわざ「読みたい」と思わないでしょう。「主人公はこの後に何をしてくれるんだ?」といったワクワク感もありません。今後の展開が予想できた時点で、本を閉じられる可能性が高いでしょう。
できれば、テンプレのように作るのはやめましょう。何かヒネリが欲しいところです。この作品でしか読めないような、他とは違うキャラクターを創造してみてください。
キャラとして薄っぺらい
キャラの作り込みが甘いと、魅力を感じません。応援する気になれず、読まれにくいでしょう。
ありきたりと違い、薄いのですよね。どこかで見たことがあるというより、魅力がないという印象です。
薄い説明で恐縮です。キャラが薄い…掘り下げ方&考えるポイント|小説・脚本用をお読みいただいた方が、話が早いでしょう。
何考えているのかわからない
何を考えているかわからない主人公は、感情移入されにくいです。思考や感情を理解しにくいので、主人公と読者の間に距離が生まれます。すると、ちょっとした刺激で読む気が削がれ、続きを読まれにくくなるでしょう。
深く感情移入できていれば、ちょっとしたことでは心が離れません。多少の誤字脱字やスマホの着信があっても、読み進めてくれるでしょう。「こいつはどうするんだろう?」と思い、続きを読んでくれるはずです。
行動に一貫性がない(ブレる)
ブレる主人公は好かれません。主人公の行動が理解できないことで、読者が感情移入できなくなるからです。
例えばワンピース。主人公のルフィは仲間思いですよね。それなのに、もし「仲間を売ればお前だけは助ける」と敵に言われ「仲間くらいどうぞ」と言ったら。
……嫌じゃないですか? 「ルフィってそんな奴だったんだ」とガッカリするはずです。(※例題なので、実際とは異なります。ご容赦ください)
主人公が理解できないと思った瞬間、読者の心に距離が生じます。そしてキャラが「作者の都合で生まれた創作物」にしか見えなくなるでしょう。
好感度が低い(シナリオ限定)
シナリオの主人公は、好人物がよいとされます。
シナリオは視聴人口が多い&視聴層が幅広い。そのため、誰にでも好かれるよう「万人受けするキャラ」を作ります。また、シナリオは受動的に楽しむ媒体なので、嫌な主人公だと視聴者に拒否反応が出ます。
映画・テレビドラマ・ラジオドラマなど、「シナリオ(脚本)」はすべて共通です。
逆に、小説の主人公は嫌な人物がよい。特定層しか支持できないような、尖った人物の方が好まれます。それは小説が能動的に楽しむ娯楽だから。人間としての汚い部分を描くことで共感し、より深く感情移入できます。むしろキレイごとばかりの主人公は、偽善者に見えるでしょう。
愛される主人公を作ろう
好かれない主人公の特徴は、次の通りです。
- 受動的
- 作品内で解決すべき問題がない
- テンプのようなありきたりなキャラ
- キャラとして薄っぺらい
- 何考えているのかわからない
- 行動に一貫性がない(ブレる)
- 好感度が低い(シナリオ限定)
主人公は読者と作品を繋ぐ、重要な存在です。適当に作らず、しっかりと作り込んでください。主人公が上記のような感じだと、作品もつまらなくなるでしょう。ぜひ物語の魅力を減らさないよう、こだわって主人公を作ってくださいね。
推薦図書:「魅力的」なキャラクターの作り方
キャラクター作りのコツを初心者にもわかりやすく解説しています。内面重視で作るため、人間味ある深いキャラが作れますよ。