陰陽と五行って、両立するの?
古代中国の思想を学ぶと頻出する「陰陽」と「五行」。
「この世は陰陽で出来てるのに、五行でも出来ているってどういうこと?」と長年思っていたのですが、ようやく納得する答えが見つかりました。
本記事では、陰陽思想と五行思想について解説します。
陰陽と五行の概要
陰陽と五行は別物です。それぞれ独自に発展しました。
生まれた時期は、両者とも紀元前4、5世紀。
ちなみに、同時期に十干&十二支も生まれています。
戦国時代末期に両者が結びつき、「陰陽五行思想」が生まれた。
だから万物は陰陽であり五行でもある。両者の言い分が成立するのですね。
陰陽説とは
万物は陰と陽、二つの気に分類されます。
混沌が天と地の二つに分かれたことは、多くの神話で見聞きしているかと思います。
天(陽)と地(陰)の気が分かれたように、すべては両者の気を持っています。
お互いの気が関係し合って、自然界の秩序が保たれている。これが基本的な考え方です。
同様に人間界の秩序も、すべて陰陽の二気で保たれています。その影響は広く、社会から個人まで波及。
さらに「道徳の根源」として使われたたことで、陰陽は中国の根本思想へと昇華。さらに易へ取り入れられ、基本原理となりました。
ちなみに、陰は「日陰」。陽は「日向」。日光の当たる場所・当たらない場所を示します。
五行説とは
もとは戦国時代の陰陽家・騶衍(すうえん)が、王朝の推移を五行に例えて説いたのが始まりです。
それが「物事の巡り、巡行」として有力になり、今に至ります。
お互いへの影響に強弱があるため、相生・相剋(そうしょう・そうこく)の原理になりました。
相生・相剋(そうしょう・そうこく)とは
相生・相剋は、五行説を知る上で欠かせない要素です。
する・される側が逆になると、意味が変わります。混同しないよう、注意しましょう。
相生(そうしょう)
相生とは、力を与える&もらう関係。
- 矢印起点:力を与える
- 矢印先端:力をもらう
一方的で、逆になることはありません。先端(力をもらう)側になると、吉になります。
相剋(そうこく)
相剋とは、力を奪う&奪われる関係。
- 矢印起点:力を奪う
- 矢印先端:力を奪われる
一方的で、逆になることはありません。起点(力を奪う)側になると、吉になります。
なぜ五行なのか
なぜ五行(木・火・土・金・水)かというと、二つの説があります。
一つは、惑星由来。古代からこの五惑星は認知され、「地上に影響を与える」として重視していました。
もう一つは、「五材(万物を形成する5つの材料)」由来。
いずれにせよ、人間の生活には欠かせないものからきているのですね。
五行の覚え方
五行は「きひつかみ」と覚えると楽です。
金だけ「か」と読むので、火(ひ)と混同しないように注意しましょう。この部分だけ覚えておくといいですね。
きひつかみを時計回りに書くと、あら不思議。五行相関図がすぐさま書けます。
さらに相生は時計回り。相剋は一筆書きの星になっています。
最初の一筆目を覚えておくと、迷わず書けますよ。ぜひともお試しあれ。
六行説とは
ちなみに、かつては「六行説」もありました。しかし普及せず、五行説だけが残っています。
六行説が廃れた理由は不明です。そして反対に、五行説の人気が出たようですね。
6分類されるものは、六行説の影響と思ってよさそう。
大安などでおなじみ「六曜」も、六行説由来と考えられています。
陰陽五行説とは
陰陽五行説とは、陰陽説と五行説がくっついたもの。自然哲学の一種として利用されました。
まず混沌があり、陰陽によって陽気(天)と陰気(地)に分かれました。
一年を周期として、二つの気は交互に栄枯転変します。その間に、五行である5つの物質が生まれます。
この5つの物質も、交互に栄枯転変し、四季が生まれます。
ちなみに、陰の頂点が冬至。陽の頂点が夏至ですね。
陰陽五行思想が暦法と結びつくことで、様々な迷信・占いが生まれました。
日による吉凶を様々なアプローチで判断したのですね。
このように、占いは陰陽・五行・暦と密接に繋がっています。それぞれを理解することで、より深く占術を知ることができますよ。
陰陽と五行は別物
本記事のまとめは、次の通りです。
- 陰陽と五行、それぞれ独自に発展し、後に結び付いた
- 全体として陰陽があり、その間を五行で区切るイメージ
一緒にしがちな陰陽と五行ですが、理屈を知ると納得ですよね。
古代中国の占いへの理解がグッと進むので、ぜひ押さえておいてくださいね。
推薦図書:現代こよみ読み解き事典
様々な本を読みましたが、一番丁寧でわかりやすい! 根拠や時期も載っているので、理解力が違います。占い専門書ではありませんが、かなり総合的な知識が身につきますよ。