【小説&脚本】伏線の張り方&回収する時のコツ|伏線の学び方付き

私は伏線を張るのが結構得意です。しかしそのためにかなり勉強したし、コツがあるなと最近気づきました。

本記事では伏線を張る時のコツと勉強方法についてご紹介します。

普段の読み方も変わってくるので、ぜひ覚えてくださいね。

目次

伏線とは

そもそも伏線とは何か。goo国語辞書によると、以下の通りになります。

1 小説や戯曲などで、のちの展開に備えてそれに関連した事柄を前のほうでほのめかしておくこと。また、その事柄。「主人公の行動に―を敷く」

2 あとのことがうまくゆくように、前もってそれとなく用意しておくこと。また、そのもの。「断られたときのために―を張る」

goo国語辞書「伏線」より

もしかしたら、あなたはとんでもない大どんでん返しを期待するかもしれません。そういうのを望んでいる方はごめんなさい。基本的には地味で、後から「ああ、あれが伏線だったのか!」となるような些細なものが多いです。

しかしそういった小さな伏線に気づくほど、読者は嬉しくなるというもの。知って損はないので、お時間があればこの後の記事にもお付き合いください。

伏線を張る時のコツ

伏線を張る時は、次の3つを心がけます。

  1. 入口と出口を決める
  2. なるべく早く伏線回収する
  3. 二重の意味を持たせる

一つずつ解説していきますね。

入口と出口を決める

伏線の基本は「仕込み」と「回収」です。私は仕込みを入口、回収を出口と呼んでます。因果関係(原因と結果)ともいえますね。

この二つは、セットで初めて効果を発揮します。ココ重要です。

まず伏線を張ろうと思った時、どっちが出来ているか・どっちが見つからないかを整理します。

伏線を張りたいときは「こんなネタ晴らしをしたい」「このネタは後から使えそう」など、何かしら取っ掛かりがあるかと思います。その取っ掛かりに対して、必要なのは入口か出口か。もう片方を決めるということです。そして対応する一方を、適切な場所に入れます。

上手く伏線を張れない時は、大抵どちらかが不足しています。

伏線回収ができない時は、大抵出口が定まってません。

話が唐突な人は、出口だけ書いてます。入口がないので、説明不足だと思うのですね。

入口と出口はセットで考え、物語全体の流れに組み込むと仕込みやすくなります。

伏線が思いつかない場合は…

どんなに頭をひねっても伏線が出ない場合は、先に入口だけor出口だけ決めます。そして反対側(入口or出口)を決めます。

何か取っ掛かりがないと入れづらいので、その取っ掛かりを作る感じですね。

これまで書いた文章や物語の設定を見直して、何か使えそうなものがないか探しましょう。

適切な場所とは

「伏線は適切な場所に入れる」とありますが、ではどこが適切なのか。作品を読まないと何とも言えませんが、だいたいの挿入場所を絞ることはできます。

  • 事前情報として知っていなきゃいけない部分
  • 特に書くことがない部分(空白の箇所)
◆事前情報として知っていなきゃいけない部分

例えば「奥さんが殺された」として、旦那さんはどのタイミングで知るか。大抵は自分で発見するか、警察や家族からの連絡で知ると思います。でも誰かから聞く前に死んでいることを知っていたら不自然ですよね。旦那さんが犯人だと思われます。

このように適切なタイミングで情報提示しないと、話の流れがおかしくなる部分があります。入れたい伏線が「この時点で知っていると話がおかしくなるな」と思ったら、どんどん物語を遡ってください。逆に「この時点で知らないとおかしい」という部分が出てくるかと思います。

そうしたらラッキー! あとは話の流れに溶け込むように、伏線を忍び込ませるだけです。

◆ 特に書くことがない部分(空白の部分)

物語の構成を組んでいると、どうしても「物語の空白地(何を入れたらいいのか迷うという部分)」が出てきます。そういう時に伏線を入れてみてはいかがでしょうか。そして、伏線に沿うような形で物語を組み立てていきます。すると空白の部分が埋まります。物語のカサ増しにも使えますので、お試しあれ。

なるべく早く伏線回収する

シナリオを分析している時に気づいたのですが、案外早く伏線回収してるんですよね。

私の体感では、多くが伏線を張った次のシーンで回収しています。

いくら丁寧に伏線を入れても、読者はいつまでも覚えているわけではありません。特に本の場合、次に読むまでに数か月空くことも。だから読者が伏線を忘れないうちに回収するのがベター

もちろん、物語全体を引っ張る大がかりな伏線なら、ゆったり回収して構いません。ただし読者が伏線を忘れたり、そもそも伏線に気づいていない可能性があるということを覚えておきましょう。

伏線を最大限楽しんでもらうためにも、小ネタは早期の回収が望ましいといえます。

二重の意味を持たせる

ちょっと上級編として、伏線に複数の意味を持たせる手法があります。単純な伏線とは違い、後から気づいた時のインパクトは絶大です。

一例

  • Aのことかと思ったら、Bのことだった(ミスリード)
  • 無関係な1と2と3が、すべてAへの伏線だった など

この伏線を考える時のコツは、まず「読者をどう驚かすか」を決めること。上記2つの例では、出口の部分を決めるのが先決。そのために、何を入れたらいいかを考えます。

ネタバレになるので具体的な解説は控えますが、たとえば真犯人の犯行を考えてから偽犯人(容疑者)の動向を考えるとか。そんな感じです。

伏線によっては、一つのネタで三つ以上の意味を持たせたり、物語全部が壮大な仕掛けになっていたり。様々なパターンがあります。一人でゼロから考えるとかなり大変なので、たくさんの本を読んでパターンを掴むことをオススメします。

伏線の学び方

ここからは、私が伏線について学んだ方法をご紹介します。

シナリオの書き写し

シナリオや小説を書き写していると「これ伏線だな」という箇所が見つかります。そして次のシーンで「こう回収するのか!」と学べるのです。

セリフや動作などの細かい伏線テクニックを学ぶなら、書き写しが最も効果的です。

シナリオや小説の分析

私が一番やっている勉強方法。シーンや章ごとに「何が起こっているか」や物語の流れを書き出します。

すると「ここで伏線を仕込む」「ここで回収する」といったタイミングがわかります。書き写しよりは大局的な分析になりますが、物語の構成を考える力が養われます

たくさんの作品に触れる

結局はこれになるのですが、見たり読んでパターンを学ぶのが一番手っ取り早いですね。

できれば自分が書きたい媒体の作品を見た方がいいです。小説とシナリオでは、学べる伏線の種類が違うので。

個人の感想ですが、小説は一文字一文字すべてが伏線になりえるし、全部が伏線にならない可能性もあります。シナリオだとセリフによる伏線が最も多く、ト書きの伏線は小説を書くのにも役立ちます。

伏線重視で学びたいなら、ミステリー小説がよいでしょう。私は最近ルパンシリーズを読んでいるのですが、伏線に次ぐ伏線で、めちゃくちゃ興奮します。推理よりも面白いので、ぜひ分析しながら読んでみてください。

私のオススメはコチラ

ルパンとホームズのお互いに一歩も譲らない攻防。その駆け引きは読んでいてハラハラするほどです。

コツを掴めば伏線は難しくない

大変そうに見える伏線ですが、一度コツを掴むと楽々わかるようになります。勘がいい人なら、1作品分析しただけで効果が出るでしょう。

伏線の張り方は一生もののスキルなので、ぜひこの機会に身につけてくださいね。

宮本くみこ
ライター
小説・シナリオ・エンタメを愛しています。小説書けずに苦節20年→脚本修行のため公務員辞めて上京→なんか違うと絶望→小説の真髄発見。普段は占いライターしながら小説・シナリオを書いてます。目標は国際アンデルセン賞受賞。「私自身が最高の物語」と自負してます。
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