自伝を書いちゃダメな人の特徴7選|その自伝、迷惑です。

「自伝を作りたい」とよく相談を受けるのですが、時折「あなたは書いちゃダメ!」という人がいます。もちろん個人の自由なので、私に制限する権限はありません。しかし希望を聞いただけで「誰にも読まれないだろうなあ」と分かるのです。

本記事では自伝を書いてはいけない人の特徴をご紹介します。

目次

自伝を書いてはいけない人の特徴

自伝を書いてはいけない人の特徴は、次の七つです。

  1. 誰かに「書きなよ」と言われた人
  2. 面白いエピソードがたくさんある人
  3. 武勇伝や自分語りがしたい人
  4. 書く目標がない人
  5. アウトプットのために書く人
  6. 作品を否定されてキレる人
  7. 好き勝手に書きたい人

誰かに「書きなよ」と言われた人

自分の意思で「書きたい」と思っていない人は、書かない方がいいです。なぜなら行き詰まった時に投げ出しやすいからです。最後まで書き上げるのは難しいでしょう。

この場合、なぜ書こうと思ったのか動機を聞くと、「誰かに言われたから」と答えることが多いですね。

友人と話をしていると「その話、すごく面白いから小説になるよ」「絶対書いた方がいいよ」と言われることがあるかと思います。

しかしそういうネタに限って、文字にすると面白くならないんですよね。その場の勢いとかテンションとか、喋るからこそ面白いという話もあって、文字だと途端に臨場感がなくなります。

誰かの「読みたい」と言うリクエストに応えるのは、素晴らしい行為だと思います。しかしあなた自身は、本当に書きたいのでしょうか。誰かにやらされている行為は不満が溜まりやすく、長続きしにくいものです。

是非あなたの意思で書きたいと思った時に自伝を検討してください。

面白いエピソードがたくさんある人

これもよく誤解されるのですが、「面白いエピソードがたくさんある」「ちょっと変わった人生を送ってきた」という人も要注意です。なぜなら面白いしか魅力がないからです。

そもそも、なぜ人は本を読むのでしょうか。諸説あると思いますが、平たく言うと「読みたいから(欲求)」と「必要だから(必要性)」のいずれかに分かれるかと思います。読む動機がなければ、本を手に取ることはないでしょう。

つまり読んでもらうには、読者に必要だと思われるか、読者の読みたいという欲求を掻き立てる必要があるのです。

芸能人の自伝なら、誰でも読みたくなるでしょう。しかし、よく知りもしない一般人の人生を読みたいと願う人はどれだけいるでしょうか。きっと少ないでしょう。壮絶な人生を送った人の自伝なら知的好奇心をくすぐりますが、誰もが壮絶なエピソードを持っているわけではありません。

自伝にも面白さは重要です。ただ「面白いだけ」では物足りないのです。あなたの物語を読みたいと思ってくれる人はいるでしょうか。面白さだけではなく、読者に「読みたい!」と思わせる動機付けができるかを考えたいものです。

ちなみに面白エピソードは、小説の小ネタリアリティUPには大いに役立ちます。自分で書くのが面倒な人は、小説書きにエピソードを提供すると喜ばれますよ。

武勇伝や自分語りがしたい人

こんなにスゴイ人生を送ってきたんだ!」と、自分の経験を残すために自伝を書くという人も多いでしょう。それ自体は、なんら否定される行為ではありません。ただ人は誰かの自慢話は聞きたくないものです。

例えば、飲み会で上司から武勇伝を語られる、あの特有のウザさをご存知でしょうか。

上司の話が自分にとってタメになるものであれば、あなたも大人しく聞くかと思います。面白い話であれば、興味も持つと思います。しかし、中身のない上司の自分語り、都合のいい武勇伝であれば、聞かされている方としては不満が溜まるでしょう。できれば避けたいものです。

自叙伝のように脚色したり、つじつま合わせで多少変更することはあるかと思います。しかし自分に都合がいい内容に改変したり、自慢しすぎたり。ウザい自分語りが続くのであれば、自伝を書かない方がいいでしょう。読まれないどころか、読んだ人に嫌われそうです。

書く目標がない人

時間があるから「ちょっと書いてみよう」くらいの軽い気持ちで自伝を書きたい人もいるかと思います。ただ、せっかく書くのであれば「書いた後どうするか」も一緒に考えて欲しいところです。

正直、自伝は無限に書きます。自分が生きている限りネタがあるからです。しかしどこかで落としどころをつけておかないと、いつまでたっても自伝執筆が終わりません。先が見えず、書くのが苦痛になるでしょう。

また、せっかく書いたのに使えないのもモッタイナイ。

例えば「せっかく書いたからどこかに応募しよう!」と思ったとします。しかし応募規定に納まっていなければ、応募できません。文字数が足りなすぎたり多すぎたり。十万字くらいの文字数があれば、修正も一苦労でしょう。

書いた後に後悔しないためにも、書く前に「書いた後どうするか」を決めておきましょう。目標を設定することで、せっかく書いた作品を無駄にすることなく、より良い方法で活用することができます。

アウトプットのために書く人

文章を書く人の中には「自分のアウトプットのため」という人も多いです。思考を整理したり、心のままに思いついたことを書いたり。人によって方法や種類は異なるでしょう。

しかし、それってあえて人に見せる必要があるのでしょうか。読まされてる方としては、よくわからない思いつきを見せられているってことですよね。

読者としては、しっかり整理したものを読みたいものです。下書きやメモではなく、完成された作品が見たいのです。どっちつかずのフラフラした内容であっては、読んでいる方は、作者が何が言いたいのかわからなくなります。

もしあなたがアウトプット目的で書くなら、日記の方が気楽でしょう。好きに書けるので、気ままに楽しめます。しかし、ここであえて「自伝を書く」という選択をしたのであれば、読んでくれる人のことも考えて書きたいものです。

作品を否定されてキレる人

自伝を読んでもらって「賛美以外は受け付けない!」という人は、自伝を書かない方がいいです。というか、小説含め、創作全般を書かない方がいいです。

時折、作品と自分(作者自身)を混同する人がいます。「作品にダメ出しされた=自分の人生を否定された」と思ってしまい、不機嫌になってしまうのです。

他人に読まれ慣れた経験が少ないと、特に混同しがちです。かつては私もそうでした。

相手に悪意がある場合は別として、多くの人は純粋な作品の感想を教えてくれるものです。もし読み手がプロなら、アドバイスは「より伝わりやすい、より良い作品にするため」に必要なことです。時として耳が痛い内容にはなりますが、根底にはあなたへの思いやりが潜んでいます。

しかし、それすらも受け取れない。どうしても自分と作品を切り離せない。そんな場合は、仕方ありません。書き上げた自伝は公開しない方が、心穏やかに過ごせますよ。

好き勝手に書きたい人

好き勝手に作品を書きたい人は、お好きに書いて構いません。ただし、読まれないからと言って文句を言わないでほしいのです。

ただ、しっかり書いたからといって、必ず作品が読まれるわけではありません。自伝であれ小説であれ、この部分は同じです。

この世の中には様々な娯楽が蔓延してます。もっと気軽に楽しめるものが多い中、あえて本を読む人はごく少数。特に昨今は読書離れが加速していますし、本自体が娯楽として選ばれにくくなっています。そんな中、自伝を読む人は、よほどの物好きと言えるでしょう。

例えば、あなたは今、この記事を読んでいますよね。その時間があれば、もっと別のことができたはずです。他の娯楽を差し置いて読んだ本記事が、100%私の自己満足みたいな記事だったらどうでしょう。あなたにとって有益な内容がなかったら「時間返せ!」って思いますよね。あなたの作品を読んだ読者も、同じことを思うでしょう。

自伝や文章は、好きに書くことができます。だからといって、作者にしか理解できないような、好き勝手に書いた作品は、読者にとってありがたいものではありません。忙しい中せっかく読んでくれた読者のためにも、作者としてできることは最大限にやりたいものです。

本当に自伝を書くべきか、もう一度見直そう

自伝を書かない方がいい人の特徴は次の七つです。

  1. 誰かに「書きなよ」と言われた人
  2. 面白いエピソードがたくさんある人
  3. 武勇伝や自分語りがしたい人人
  4. 書く目標がない人
  5. アウトプットのために書く人
  6. 作品を否定されてキレる人
  7. 好き勝手に書きたい人

「絶対に自伝を書いてはいけない」というわけではありませんが、「せっかく書いたのに読まれない」「なんだか低評価が付けられてしまった」という事態に陥りかねません。

その名の通り、自伝は「自分」について語ります。傲慢な姿勢が全面に出てしまうと「自分語りウザ」となり、読まれなかったり読者に嫌われる羽目になります。書き方以上に、書く心意気を大切にしましょう。

あなたが書くべきなのは、本当に自伝なのか。もっと他に良い発表方法があるのではないか。今一度、手を止めて考えてみてくださいね。

推薦図書:もっと読みたいと求められる自伝の書き方

自伝の書き方だけでなく、自伝の種類から発表方法まで幅広く解説した一冊。何を書いていいかわからないという人も、本書を通して書くべき作品の姿が見えてくるでしょう。これから書きたいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

宮本くみこ
ライター
小説・シナリオ・エンタメを愛しています。小説書けずに苦節20年→脚本修行のため公務員辞めて上京→なんか違うと絶望→小説の真髄発見。普段は占いライターしながら小説・シナリオを書いてます。目標は国際アンデルセン賞受賞。「私自身が最高の物語」と自負してます。
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる