読書せずとも小説は書ける?|プロ作家になるために読書は必要か

最近「読まずに書ける」を謳った小説入門書が多いです。小説家志望者でも「読書はしない」という人も多い印象です。

実際、私も読書なしで小説を書いていました。しかし読書せずとも小説が書けるのでしょうか?

本記事では小説執筆に読書は必要か、実体験ベースでお答えします。

目次

読書なしで小説は書けるのか

結論から言うと「書けるけど、読める作品にならない」です。

もし書く理由があなたの自己満足なら、読書なしでどんどん書いてください。しかしプロ作家になりたいなら、読書は必須です。

なぜならジャンルや書籍には「相場」があるから。そして「相場」は読書をしない限り掴めないからです。

相場とは何か

相場を理解するために、例題を出します。以下の作品について、どう思うでしょうか?

登場人物全員がおバカなミステリー
探偵も犯人も刑事も、全員おバカ。偶然が重なりすぎた結果、奇跡的に調難易度の密室殺人が起こります。

名探偵コナンを見れば、時々おバカな刑事さんが出てきますよね。全員あんな感じです。頭脳戦が繰り広げられるミステリーにおいては、斬新すぎる設定でしょう。面白そうだし、ちょっと読んでみたい気もします。

しかしミステリーに「馬鹿」はご法度です。「刑事がうっかり証拠品を捨てちゃった」などのシーンがあれば、読者は幻滅するでしょう。馬鹿すぎる行為の連続にイライラすると思います。

探偵と犯人の頭脳戦(高度な知的駆け引き)が、ミステリーの醍醐味です。どんなに斬新であっても、ここは譲れません。そしてミステリー愛読者は、そのことを感覚的に知っています。

しかし普段ミステリーを読まない人は、そんな常識を知りません。だから禁じ手である行為をしてしまい、読者から顰蹙を買ってしまうのですね。

相場を外れるとどうなるか

斬新な作品を書くため、あえて相場を裏切るという人もいるでしょう。その心意気は重要です。

しかし相場から離れた作品は、読者から拒絶されます。「どんなに面白くても、イマイチ売れない」といった評価になるでしょう。ヒットの可能性を含みつつも、悪手となる可能性が高いです。

もっとも最悪なのが「この作者、何もわかってないw」と思われること。

上記に出たミステリー相場は、読者なら普通のことです。その「普通」ができていない作者として、読者から侮られるでしょう。「何も知らない人」という烙印を押され、二度と作品を読んでもらえないかもしれません。もし商業作品であれば、レビュー等で悪評は長く残るでしょう。

読者に受け入れられる&作者失格の烙印を押されないためにも、相場は掴んでおきたいところです。

相場の範囲

このような相場はジャンル・出版社・レーベルごとに存在します。

よく聞くアドバイスに「文学賞の傾向を研究しろ」「読者のことを考えろ」があります。このアドバイスは、まさに相場のこと。相手が好きそうな作品を書くのではなく相場に合わせて作風を調整するという意味です。

同ジャンルや出版社であれば、ある程度相場は似ています。しかしそれぞれに微妙な違いがあるのです。その微妙な違いが何より重要で、微妙な違いを知るためにも読書が必要なのです。

小説家になりたいなら読書しよう

読書せずとも小説は書けます。ただし相場を無視した「小説っぽいもの」になり、読まれない可能性が高くなります。

もしあなたが稀代の天才だったり読書に匹敵するような勉強をしているのであれば、読書しなくても構いません。しかし大抵の人は天才じゃないので、読書した方がいいでしょう。それにジャンルや出版社ごとに存在する「相場」は、読書することでしか得られません。

プロの小説家になりたい人は、執筆以上に読書も大事にしてくださいね。

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宮本くみこ
ライター
小説・シナリオ・エンタメを愛しています。小説書けずに苦節20年→脚本修行のため公務員辞めて上京→なんか違うと絶望→小説の真髄発見。普段は占いライターしながら小説・シナリオを書いてます。目標は国際アンデルセン賞受賞。「私自身が最高の物語」と自負してます。
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