先日「俳句や川柳を学びたい」と思い本屋に行ったら、こんな本を見つけました。
※学ぼうと思ったきっかけはこちら
これまで短歌に触れたことはなかったのですが、立ち読みして「これだ!!」と思い購入。買ったその日に短歌が作れるようになり、今では短歌作りが習慣化しました。
アメトーーク!の「本屋で読書芸人」で話題になった本書。どんな本なのか、なぜ私に刺さったのか等をご紹介します。
「天才による凡人のための短歌教室」とは
短歌の作り方から推敲方法など、短歌に必要なスキルが書かれています。著者だけでなく、様々な著者の短歌が参照されているので、この一冊でたくさんの短歌に触れられます。
「短歌って見たことない」という状態から「なんか短歌が作れそう!」と思わせてくれる一冊です。
ちなみに平易な言葉で書かれているので、スラスラと読めます。長い本でもないので、読書が苦手な方でも読みやすいでしょう。
天才による凡人のための短歌教室が私に刺さった理由
ここからは私が本書を読んだ感想をご紹介します。
短歌へのハードルが下がった
立ち読みして思ったのは「こんなんでいいんだ!」です。これは見下してるとか侮辱してるわけではありません。私の想像以上に自由にできると悟ったのです。
本書から一句を紹介します。
花束を抱えて乗ってきた人のためにみんなでつくる空間
木下龍也/第一歌集「つむじ風、ここにあります」所収
この一句が真っ先に載っているのですが、どうですか? 思ったより身近なシーンを、分かりやすい言葉で切り取っているなと思いました。短歌とか俳句って、もっと詩的で難解なものだと思っていたので、「読めること」「理解できる」ことに衝撃を覚えました。
31字以内なら自由にしていい
短歌のルールは一つ。五七五七七のリズムに言葉を当てはめるだけ。作品に昇格するにはテクニックや技術が必要になりますが、ただ作るだけなら想像以上に簡単です。季語も不要です。
例えば、先日公開した記事のアイキャッチ画像。ここに書いている文字は五七五七七のリズム。つまり短歌なんですね。
作品の奥深さとか味わいは皆無ですが、作歌に5分もかかっていません。思いついた言葉を短歌っぽく並べただけですから。
試しに今思っていることを五七五七七に当てはめてみてください。きっとそれなりに形になるはずです。
もし「どうしたらいいかわからない」というなら、本書を読むべきです。たくさんの短歌に触れているうちに「あ、こんな感じなんだ!」と掴める瞬間が来るでしょう。
気軽に作っていいと思えた
本書では「歌人になること」への第一歩として、師匠となる作家探しと短歌作りの習慣化を推奨しています。読まなきゃいけないので作家探しには時間がかかりますが、短歌作りの習慣化は今すぐにでもできます。
もちろん最初に作った短歌は無惨なものです。恥ずかしすぎて公開できません(笑)しかし作ってみることで見えてくる世界があると知りました。
例えば、短歌を読んでも「気持ちわかるわー」「世界観がいいなー」くらいにしか思えなかったのですが、「この言葉選びがいいな」「この語順は思いつかなかった!」など、作り手視点で読めるようになります。
テクニックや推敲、公開なんて後から考えればいい。「まず作ろう」と思えたのが、大きな一歩になりました。
言葉の磨き方がわかる
短歌は文字数制限があるので、言葉選びが何より重要です。このネタは短歌に使えるか、はたまた削るべきなのか。作っているとネタの大きさと文字数との兼ね合いに悩むものです。
本書では、著者が作った作品を推敲する様子が順を追って描かれています。私から見たら「最初のでいいじゃん」と思います。しかし磨かれるほどに「なるほど!」となり、「まだ粘るのか!」と驚き、そして完成形を見て言葉を失います。この流れが読めるだけでも、値段以上の価値があります。
ちなみに、私は実用文も創作活動もしていますが、両方でこのスキルは生かせます。特にキャッチコピー、シナリオでは絶大な力を発揮するはずです。
歌人になる方法が見えた
突然ですが、どうやったら歌人になれると思いますか? 自称歌人なら今すぐにでもなれます。しかし歌集を発表したり<仕事として短歌を作る方法>を私は知りませんでした。
本書では歌人・木下龍也の歌人としての道のりが読めます。「たくさん作って、たくさん投稿する」という王道な方法ですが、じゃあ「具体的にどうしたらいいか」という戦略が記載されています。
もちろん最終的には、個人のセンスや運次第になるでしょう。しかしかなり再現性が高い方法なので、本気で歌人になりたい人にとっては価値ある情報ばかりです。
短歌の楽しさを知れる良書
本書は「短歌って何?」というレベルの人でも、簡単に短歌が作れるようになります。短歌を始めてみたい人、新しい趣味が欲しい人はぜひ手に取ってください。
特に「本格的に習いたいけど、カルチャー教室やセミナーだと他人に見られるのが恥ずかしい」という人なら絶対に買いです。私はやってみたら想像以上に楽しくて、今では短歌教室に通いたいくらいです。他の人と意見交換したり、どんな視点で短歌を作っているのか教えてほしいくらいですね。
短歌の入門書として、これ以上にわかりやすい&役立つ本はないでしょう。ぜひ読んでみてくださいね。