戯曲と脚本って、何が違うの?台本は?
舞台用の脚本の書き方を学ぼうと思った時、ふと疑問に思いました。
さらには台本もあるし、何と呼ぶのが正解なのでしょうか?
本記事では、戯曲・台本・脚本の違いについて解説します。
よく比較される「小説と映像シナリオ」の違いは小説とシナリオ、何が違う?|6つの違いと特徴まとめで解説しています。
戯曲・脚本・台本の違い
3つ特徴を一言でまとめると、次のとおりです。
- 戯曲:文学作品(上映未定)
- 脚本:上映に使うもの(台本に同じ)
- 台本:上映に使うもの(決定稿)
脚本と台本は同じです。
また、脚本とシナリオも同じです。違いは英語か日本語かだけですね。
戯曲とは
戯曲とは、文学ジャンルの一つ。
上映は前提としておらず、作品単体で楽しめます。
ちなみに、シナリオ(脚本)は、上映(または映像化)されて初めて「作品」になります。
上映・映像化されない脚本は、どんなに素晴らしくても評価の対象外。
シナリオ単体で評価されることはありません。
一方、戯曲は単体でも評価される、珍しいシナリオ作品です。
もし自作を上映したいと思わないなら、戯曲を書くのが良さそうですね。
脚本(またはシナリオ)とは
脚本は、作品の前段階として作られます。
作品はあくまで舞台や映像。脚本は、作品を支える一要素に過ぎないのです。
そのため、上映(または映像化)されない限り、脚本が作品として評価されることはありません。ここが戯曲との大きな違いでしょう。
上映・映像化前提なのは、舞台だけでなく、映画やテレビといった他ジャンルでも同じです。
なお、脚本と台本は同義です。ただ私の感覚でいうと、脚本は「スタッフ用」のイメージですね。
脚本は実際に何を上映するか話し合い、会議で使うもの。実際上映するために、具体的な指示などを書き出すもの。
そして諸々決定し、最終的に演者が受け取るのが「台本」という印象です。
そのため、脚本は「準備稿・決定稿・最終稿を含んだすべて」と捉えた方がよさそうですね。
準備稿とは
「これで作ろう」と、改編を重ねるもの。
企画会議でブラッシュアップするための、たたき台という感じですね。
脚本家が書き直す第〇稿をすべて含めて、準備稿となります。
決定稿とは
「これで撮影しよう!」と決まったもの。
会議を重ね、すべての修正が終わった状態です。
台本として配られるのは、決定稿と見てよいでしょう。
最終稿とは
「最終的にこれで撮影しました」というのが、最終稿。
現場では、思わぬトラブルが発生したりと変更を余儀なくされる場合があります。
撮影時に発生した修正を書き加えたものが、最終稿なのです。
映像と見比べる時は、最終稿を見るとよいでしょう。
なお、舞台脚本では最終稿を作ることはないでしょうが、用語として添えておきます。
台本とは
台本は、演じるために必要な情報が書かれたもの。ホンとも呼ばれます。
基本的にはセリフとト書き(セリフ以外の指示)で構成されます。
脚本と台本は、同義です。
ただ台本に則って撮影するので、決定稿と捉えた方がよいでしょう。
戯曲・脚本・台本は似ているようで違う
戯曲・脚本・台本を見分ける時は、次に気を付けるとよいでしょう。
- 上映前提であるか(NOなら戯曲)
- 内容が決定しているか(NOなら脚本)
- 手元に配られているか(YESなら台本)
現場や状況によって、呼び方は変わるでしょう。
今回は舞台寄りでまとめましたが、テレビや映画に共通する部分・異なる部分があります。
それぞれの現場の雰囲気を理解しないと、詳しいところはわかりません。
あくまで参考として、本記事をお使いくださいね。
推薦図書:はじめての劇作―戯曲の書き方レッスン
これから戯曲を書きたい人にオススメ。映像シナリオと違う空気感があるので、戯曲用の入門書から学んだ方がよいでしょう。